2004年10月22日 Vol.10
提 供  漁船保険中央会

■□■□━━━━━━━「海外漁業情報」━━━━━━━■□■□


   「海外漁業情報」では、海外で操業される漁業者の皆さんへ、
  操業上の注意事項や国際会議の結果等をお知らせします。
                 
 
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    北西太平洋における鯨類捕獲調査の結果について

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 今年6月10日に出港した北西太平洋鯨類捕獲調査の沖合調査船
団は予定された調査活動を終了して、9月24日に無事に北海道釧
路に帰港しました。

 今年の調査ではミンククジラ100頭、ニタリクジラ50頭、イ
ワシクジラ100頭及びマッコウクジラ3頭のサンプルを採取した
ほか、鯨の摂餌生態に関する情報収集を行うとともに、目視調査に
よりミンククジラを119頭、ニタリクジラを181頭、イワシク
ジラを41頭発見する等大きな成果を収めました(発見頭数は仮集
計数値)。

 北西太平洋調査は、1994年に主にミンククジラの系統群解明
を目的として開始されましたが、調査の過程で鯨類が多量の漁業資
源を捕食していることが判明したため、2000年からは鯨類によ
る漁業資源への影響の解明等を主目的とする第二期調査に移行しま
した。

 第二期調査では、ミンククジラに加えて、ニタリクジラ及びマッ
コウクジラを調査対象に追加しましたが、2002年にはイワシク
ジラを追加するとともに、それまでの沖合域調査に加え、漁業との
競合が特に厳しいと想定される沿岸域におけるミンククジラの調査
も開始しました。沿岸域調査は釧路沖で9月13日より開始され、
現在も継続中です。

 日本政府は、これらの調査(沿岸域及び沖合域)から得られる情
報を基に、将来的には、鯨類資源管理のみならず、鯨類を含む全て
の漁業資源を一括して管理する新しい管理(生態系一括管理)方式
を構築することとしています。
 
 さて、北西太平洋の沖合調査を終了した鯨類捕獲調査船団は、休
む間もなく、11月中旬より南氷洋捕獲調査に向かうこととなりま
すが、ご承知のとおり、日本は、北西太平洋調査に先立ち、日本が
南氷洋捕鯨から撤退した翌年の1987年より、南氷洋ミンククジラの
生物学的情報の収集を主目的とした捕獲調査を実施してきました。

 この調査は今年度の調査航海で当初計画を終了しますが、一連の
調査によってミンククジラ資源の適切な管理に必要な科学的情報が
数多く収集されており、得られた調査結果は反捕鯨国の科学者を含
む多くの科学者から高く評価されています。日本政府としては、捕
鯨再開に向けて科学的情報の更なる充実を図るとともに、将来の持
続的捕鯨の実施に資するべく、来年度以降も南氷洋調査を継続する
こととしています。

 次期調査計画については、現在、多くの研究者の協力を得て検討
立案が進められており、来年のIWC科学委員会に提示されること
となっています。

                      
                      水産庁遠洋課

    
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                 (社)農林放送事業団
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                   漁船保険中央会
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