2015年8月28日 Vol 273

提 供  漁船保険中央会

■□■□━━━━━━━━「海外漁業情報」━━━━━━━━■□■□

「海外漁業情報」では、海外で操業される漁業者の皆さんへ、
操業上の注意事項や国際会議の結果等をお知らせしています。

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ナイロビ条約の発効に伴う条約証書の取得について

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該当船舶の条約証書船内保持の義務付けについて

2015年4月14日「2007年の海難残骸物の除去に関するナイロビ国際条約」
(The Nairobi International Convention on the Removal of Wrecks,2007)
(以下、ナイロビ条約)が発効したことにより、締約国(2015年8月現在22ヵ国)に
寄港する船舶は、締約国のうちのいずれかの国から条約証書を取得し船内に備え置く
ことが義務付けられることになりました。

このナイロビ条約では、海難残骸物が船舶航行又は海洋環境に危険を生じさせる場合、
迅速かつ効果的な海難残骸物の除去及びそれに関連する費用の補償の支払いを確実に
することを目的としていることから、条約締約国の船籍を有する船舶又は
条約締約国の領海内に寄港する船舶の登録船主に海難残骸物の除去費用を担保する保険
(PI保険)への加入を義務付けています。

前述のとおり、ナイロビ条約では、締約国に寄港する船舶は、いずれかの締約国から
条約証書を取得し船内に備え置くこととされておりますが、現時点では、
日本がナイロビ条約を批准する動きはないことから、日本船籍の対象船舶が
ナイロビ条約証書を取得する場合には、締約国のうち、非締約国の船舶への条約証書の
発給に応じる国から取得する必要があり、現在、非締約国への条約証書を発給する国は、
イギリス、デンマーク、ドイツ、リベリア、マーシャル諸島、パラオ、マルタ、
クック諸島の8か国(2015年8月現在)となっています。

現在、漁船保険中央会では、イギリス並びにリベリア両国から、適格保険者として
認定を受けていることから、漁船保険中央会が発行する漁船PI保険の保険加入証明書
(通称ブルーカード)を条約証書の発給申請書に添付することにより、
ナイロビ条約証書の取得が可能な状況となっています。

両国における条約証書の発給状況についてですが、イギリスでは、自国の対象船舶に
加えて、多くの非締約国の船舶の発給に応じていることから、条約証書の発給申請が
同国に集中し、発給業務に遅れが生じ、該当船舶が締約国へ入港するまでに条約証書の
発給が間に合わないといった事態が発生しているようです。

従いまして、今後、漁船保険中央会を通じて、ナイロビ条約証書の発給申請をする
場合には、イギリスだけでなくリベリアからの取得についてもご検討くださいますよう
お願いいたします。

なお、リベリアから取得する場合、同国から発給業務を委託されている米国法人の
日本支社(リスカジャパン株式会社)から取得することになりますが、この場合、
日本国内での手続きが可能であるため、申請から発給までに要する期間がイギリスに
比べて大幅に短縮できること、更には、ナイロビ条約証書がイギリスよりも安く
取得できるといったメリットがあります。
(但し、クレジットカードによる決済の場合に限ります)
この点についてもご考慮くださいますよう、併せてお願いいたします。

最後に、皆様の海上安全と大漁を祈念いたしております。

                               漁船保険中央会
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