2017年2月7日 Vol 308

提 供  漁船保険中央会

■□■□━━━━━━━━「海外漁業情報」━━━━━━━━■□■□

「海外漁業情報」では、海外で操業される漁業者の皆さんへ、
操業上の注意事項や国際会議の結果等をお知らせしています。

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「第66回国際捕鯨委員会(IWC)総会の結果について」

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はじめに国際捕鯨委員会(IWC)は、

「鯨族の適当な保存を図って、捕鯨産業の秩序ある発展」を実現することを目的に

締結された国際捕鯨取締条約(ICRW)に基づき設立された国際機関です。

第66回IWC総会は、2016年10月24日〜28日、スロベニア共和国において、

67ヶ国が参加して開催されました。

我が国からは森下丈二日本政府代表(東京海洋大学教授)、香川謙二農林水産省顧問

諸貫秀樹水産庁資源管理部国際課漁業交渉官、田中一成外務省経済局漁業室長を

はじめとする政府代表団に加え、金子恭之衆議院議員、伊東良孝衆議院議員、

野田国義参議院議員、地方自治体関係者が出席しました。

主な結果の概要ですが、

(1)鯨類科学調査に関する豪州・NZ決議

総会がその下に新たに作業部会を設置し、鯨類科学調査計画について意見を表明する

決議が採択されました。

我が国は、この決議が鯨類科学調査に関する特別許可発給を不当に制限するとともに、

評価の公平性や科学的根拠が損なわれる可能性があることから、こうした問題点を

指摘した上で反対票を投じました。

投票の結果、EU・米国等の反捕鯨国の賛成により採択されました。

(2)南大西洋サンクチュアリ(鯨類保護区)設置提案

ブラジルを含む南米の反捕鯨国より、南大西洋に捕鯨を禁止する保護区を設ける

南大西洋鯨類サンクチュアリが提案されました。

我が国を含む持続的利用支持国は、科学的根拠に基づかず、資源状況に関わらず

一律に鯨類資源を保護しようとするものであり条約違反であること、

科学委員会も設置の必要性を認めていないことから反対票を投じ、賛成38票、

反対24票、棄権2票で否決されました。

(3)海上の安全

我が国の調査船団に対するシー・シェパードによる妨害の経緯や実態を説明し、

各締約国政府に危険な妨害を防止するための実効性のある対策を要請しました。

これに対し、豪州・オランダ・米国等は、海上の安全確保は重要であるとしつつ、

調査船団と抗議団体の双方が国際法等関係法令に基づき適切に対応することが

重要であると発言しました。

(4)途上国支援基金の創設に関する決議

IWCへの参加が難しい国の多くは、我が国と同様に鯨類資源の持続的利用を

支持しています。

我が国は、これらの国々の参加を支援する基金の創設を求める決議の採択を主導し、

投票に付された結果、賛成多数の支持により、採択されました。

(賛成30票、棄権31票)

(5)IWCの将来

2014年の総会において、我が国は、日本沿岸域におけるミンククジラ捕獲枠

(17頭)を定める提案を提出しました。

この捕獲頭数は、科学委員会で資源に全く悪影響を与えないと

証明されていましたが、投票の結果、この提案は否決されました。

総会後、我が国は反対理由を尋ねるため締約政府に質問票を送付しましたが

、回答は反対の根拠となる科学的あるいは法的な理由が明確に示さずに、

専ら「全世界的な商業捕鯨モラトリアムの継続を支持する」という

一般的なものでした。

我が国は、この提案への反対が法的あるいは科学的根拠に基づくものではなく、

むしろあらゆる形の捕鯨に反対する国々の政策的立場が反映されたものである

ことから、今次総会において鯨類に対する根本的な意見の違いを踏まえた

今後のIWCの道筋に関して、作業部会を設置して透明性のある形で議論することを

提案しました。

今後、我が国提案をたたき台とし、具体的な進め方も含め関係国から意見を

聞きながら議論を進めていくこととなりました。

我が国はこの閉会期間中、作業部会を通じてIWCの根本的な問題に対処していきます。

3.次回総会

次回第67回総会は、2018年にブラジルで開催されることが決まり、

新議長には我が国の森下代表が全会一致で選出されました。

今後、我が国は議長国として、積極的にIWCでの議論を主導していきます。

                       水産庁国際課
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