2019年19月18日 Vol 350
提 供 日本漁船保険組合
■□■□━━━━━━━━「海外漁業情報」━━━━━━━━■□■□
「海外漁業情報」では、海外で操業される漁業者の皆さんへ、操業上の注意事項や
国際会議の結果等をお知らせしています。
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中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)第15回年次会合の結果について
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昨年12月10日から14日まで、米国、ハワイ州のホノルルにおいて中西部太平洋
まぐろ類委員会(WCPFC)第15回年次会合が開催されました。
会議には、日本、韓国、中国、豪州、NZ、太平洋島嶼国、米国、EU、台湾等
26メンバーが参加しました。
我が国からは、太田水産庁資源管理部審議官(我が国代表)ほか、水産庁、外務省、
国際水産資源研究所、及び関係業界の関係者が参加しました。
主な結果は以下のとおりです。
熱帯マグロ(メバチ・キハダ・カツオ)
現行措置の見直しについて議論が行われた結果、現行措置の2年間(2019年・2020年)
延長が合意されました。
(1)まき網(熱帯水域)
?小型魚を多く漁獲する集魚装置(FAD)を用いた操業の規制について、
排他的経済水域(EEZ)内は3か月、公海は5か月。
?公海におけるFAD操業の禁止の対象は、島嶼国がチャーターする船にも適用
?FADの個数制限として、1隻あたり常時350個以下とする。
?公海における操業日数制限は、島嶼国がチャーターする船にも適用。
?島嶼国メンバー以外は大型船の隻数を凍結する。
(2)はえ縄
?メバチの漁獲枠は昨年同様の規制水準とする(我が国は18,265トン)。
太平洋クロマグロ
本年(2018年)9月の「北小委員会」で結論が出なかった、「増枠*」と「繰越し」について、
以下のとおりとなった。
(ア)「増枠*」
来年(2019年)の会合において、資源の状況を確認した上で、再度議論。
(イ)「繰越し」
その年の漁獲上限の未利用分(当該年漁獲上限の5%まで)は、翌年に繰越可能。
(2019年の未利用分から適用し、2020年の漁獲枠に繰越し。)
* 本年(2018年)9月の「北小委員会」では、漁獲上限の見直しについては、
合意に至りませんでした。
これを受けて、「来年の会合においてISC(北太平洋まぐろ類国際科学小委員会)が
資源の状況を改めて確認した上で、増枠に関する決定を行う」旨の北小委員会の
議長提案がなされましたが、我が国は立場を留保していました。
今回の年次会合において、我が国は立場の留保を取り下げました。
≪参考1≫太平洋クロマグロの現行の保存管理措置
(ア)親魚資源量を2024年までに、少なくとも60%の確率で歴史的中間値まで
回復させることを暫定回復目標とする。
(イ)30キロ未満の小型魚の漁獲量を2002-2004年の平均水準から半減(WCPFC全体で
9,450トンから4,725トン、うち我が国が8,015トンから4,007トンに削減)。
(ウ)30キロ以上の大型魚の漁獲量を2002-2004年の平均水準から増加させない
(WCPFC全体で6,591トン、うち我が国は4,882トン)。
≪参考2≫太平洋クロマグロの漁獲戦略
(ア)次期回復目標(親魚資源量を歴史的中間値まで回復させた後の目標)
現在の目標である「暫定回復目標」を達成した後、10年以内に60%以上の確率で
「初期資源量の20%(約13万トン)」まで資源を回復させる。
(イ)長期管理方策の検討
(あ)漁獲制御ルール(資源変動に応じて管理措置を自動的に改訂するルール)
資源評価の結果、「暫定回復目標」の達成確率が、
(A)60%を下回った場合、60%に戻るよう、管理措置を強化する。
(B)75%を上回った場合、(a)「暫定回復目標」の70%以上を維持、
かつ(b)「次期回復目標」の60%以上を維持する範囲で増枠の検討が可能。
(い)管理基準値
「目標管理基準値(長期的に維持すべき資源の水準)」及び
「限界管理基準値(資源量がこれ以下となった場合、管理措置を強化する水準)」
について、2018年から議論を開始する。
次回の年次会合は、2019年12月にパプア・ニューギニアで開催される予定です。
以上
水産庁国際課
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