2009年1月27日 Vol99
提 供  漁船保険中央会

■□■□━━━━━━━━「海外漁業情報」━━━━━━━━■□■□


 「海外漁業情報」では、海外で操業される漁業者の皆さんへ、
 操業上の注意事項や国際会議の結果等をお知らせしています。

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IUU(違法・無法国・無規制)漁業廃絶へ米国が本格的取り組み            

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米国商務省(NOAA)は、1月13日、米国議会に対し、フラン
ス、イタリー、リビヤ、パナマ、中国、チュニジアの6カ国を、そ
の国の漁船がIUU漁業を行ったとする報告書を提出しました。
2007年に発効したマグナソン・スチィーブンソン改正法(MS
RA)により、NOAAは2年ごとに、IUU漁業国を特定し、議
会に報告することが義務付けられています。今回は、その初めての
報告書で、2007年・2008年の2年間のIUU漁業を対象と
しています。

 NOAAは、IUU漁業による世界の経済的損失は毎年90臆ドル
にのぼるとの国際機関の調査結果に言及し、違法漁業は国際的問題
であり、この報告書は、その廃絶への努力を一段と強化するための
措置の一つと述べています。

米国政府は、このIUU認定国と、そのIUU漁業を止めさせるよ
う、協議を行い、相手国がIUU漁業を止めさせるための有効な手
段を取らなかった場合や、IUU漁業を容認していると認められた
場合は、その国の船の米国の港への入港禁止、その国の漁獲物の輸
入禁止等の制裁措置を課すことができるとされ、米国のIUU漁業
廃絶へ向けた強い意思が示されています。

この6カ国のIUU漁船は、国際資源管理機関の定めた管理措置に
違反したことが、認定の理由として国別に明示されています。具体
的には、東大西洋・地中海におけるクロマグロ禁漁期間操業、漁獲
枠超過、漁獲報告義務不履行、漁獲報告提出の遅延、禁止漁具(流
し網)使用、及び 南極海域での監視船乗船拒否 等が指摘されて
います。

米国のIUU漁業行為認定には、環境保護団体による港での漁船の
看視報告や、その所有する監視船の洋上での視認による告発も認定
の根拠に含まれており、広範な情報を検討した結果としています。
また、漁獲報告の期限内提出の遅延が理由として挙げられているの
は、遅延の程度にもよりますが、厳し過ぎる感じもしますが、米国
政府は、報告遅延は、資源評価を適切に行う上で支障をきたしたと
説明し、資源管理義務の基本を守ることを求めています。また、海
鳥や海亀等の海洋生物資源の混獲削減の措置を実施していない漁船
もIUU漁船と同列に扱うこととされており、米国が広く海洋環境
の保全を目指していることも示しています。このような米国政府の
姿勢は、IUU漁業廃絶・混獲削減へ向けて、国際社会の動きを、
今後、一層加速させるものであるとともに、環境保護団体も更に活
発に運動を進めるものと予測されます。不測の事態を招かないよう、
日本漁船も操業時、寄港時等、一層の注意が求められています。


         社団法人 責任あるまぐろ漁業推進機構
                   
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                 (社)農林放送事業団
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                    漁船保険中央会
           H P: http://www.ghn.or.jp/
                 
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