農畜産業振興機構の情報誌「畜産の情報」11月号では「世界の牛肉需給と肉牛・牛肉産業の状況」という大きな特集が組まれています。この特集は六つのレポートで構成されており、コラムもあって、読み応えがあると同時に牛肉・牛産業が世界戦略物資であることを実感させます。この5年間くらいの間にも牛肉市場はダイナミックに動いており、従来の既成概念を打ち破る出来事が端的に報告されます。
 まず、世界一の消費国であると同時に生産国でもある米国では、厳しい干ばつを経験したあと、トウモロコシ生産を含め回復基調になってきているそうですが、やはり基本は、飼料穀物と子牛生産の安定がカギを握っていること、ついでEUでは、牛肉産業は酪農の動向に影響されることが大きく、牛肉供給の多くは乳用種によるところが重要で、EU加盟国が北極圏から地中海まで、広範な国があり消費・生産構造も一様ではないことから主要牛肉国であるフランスとドイツ、英国を例に現状を述べます。生産国の豪州では厳しい干ばつの後、ようやく立ち直りを見せてきているものの、南米産などとの国際市場における価格競争にさらされているそうです。また、マレーシアでのパームヤシ粕を利用した牛肉生産はあまり情報がないだけに貴重かもしれません。そして、大きな市場であると同時に近代的な生産国を目指している中国の最近の状況が延べられます。この中では自国のことですが、「ハラール」生産に配慮した生産も徐々に増えてきているそうです。
 コラムでは南米のブラジル、アルゼンチン、ウルグアイの現状と見通し、牛肉ではあまり触れられることのないニュージーランドの基本情報と見通しについても触れられます。
 また、各レポートの中で、最近、注目されている「ハラール」処理牛肉の動向があり、イスラム教諸国への輸出を意識した取り組み状況とアニマルウェルフェアへの配慮などもスタンダードな取り組みとして定着してきているようです。また、我が国特産の「和牛肉」の輸出の可能性にも触れられており、和牛については、結論から言えば、まだまだ売り込みの可能性があるということのようです。レポーターはJETOROとalicの職員が当たっています。

 詳しくは農畜産業振興機構の情報誌「畜産の情報」11月号をお読みください。