全国には、地域名を冠した名産食品がたくさんあります。農林水産省の地理的表示保護制度(GIマーク)は2015年にスタートしていますが、平成27年12月現在で、すでに7品目が登録されています。GIマークとは、品質や評価が生産地名と結びついている名称を保護する制度のことです。他の地域産品との差別化を図れると同時に、不正使用には取締が行われます。
 「畜産の情報」には、北海道・十勝地方のナチュラルチーズ生産でGIマーク登録を目指す北海道大学大学院農学研究院清水池義冶氏の事例調査が載っていました。十勝地方は北海道の7割のナチュラルチーズが集中的に製造されているとかで、工房によってさまざまな品質と名称によって生産されてきました。これまでも地域ブランドをまとめる組織として十勝ブランド認証機構があり、地域で手に入らない一部原料を除いてすべて十勝産を使うことや「安全」「安心」「美味しい」を基本的基準として認証を行ってきたそうです。認証制度は発展して衛生基準の技術基準の底上げにもなっており数々の議論とともに多くのアイデアが生まれてきているそうですが、ラクレット・チーズについては熟成期間が比較的長いことや品質向上とブランドの統一を目指して2015年に十勝品質事業協同組合ができ、構成8社のチーズ工房が共同熟成庫を建設しつつあり、現在、モール・ウォッシュ・ラクレット・チーズをGI制度に申請中。生産チーズ工房にとっては品質事業組合に引き渡し時点で買い取ってくれることから、経営的にも助かるといいます。
 調査結果によれば、十勝ブランド認証制度と十勝共同熟成事業によって品質の統一化がさらに促進され、地理的表示保護制度に登録されれば地域の共有財産になり、ラクレット・チーズの生産・販売の拡大が期待でき、地域経済の持続的発展の道が開けるのではないかとしています。


詳しくは農畜産業振興機構の「畜産の情報」1月号をご覧ください。