和子牛の供給はこのところかなりの速度で減ってきており、これが子牛の高騰の主因ということなのですが、その原因は繁殖経営農家の高齢化による経営中止による供給量の減少がまずあげられています。細部にわたってみると産地移動が2000年代前半に、非常に顕著になってきていると大呂先生は分析しています。和牛の生産は、繁殖経営と肥育経営に明確に分離しているのが大きな特徴で、子牛という中間生産物ともいえる特性を生かして、これまでも、粗飼料資源が豊富な北海道や沖縄県に子牛産地が移動してきていました。ところが、2000年代後半からは両地域とも減少に転じてしまった。分析を沖縄県に絞ると、沖縄県では100頭以上の大規模層と20頭以下の小規模層の減少が大きく影響したといいます。この要因が解析できれば、他の地域の減少要因についても解決への展望の大きな糸口が見えそうだということです。沖縄では、小規模層ではサトウキビの収入減を子牛生産が補ったという形が指摘されてきていたのですが、この層の高齢化が進んで経営中止に進んだのではないか、一方の大規模層では補助事業による急速な規模拡大が技術的な課題をうみ、経営者の大きな負担となり、減少に転じたのではないかということが、結果として沖縄県における「根付き方」に問題が生じたのではないかということです。大呂先生は和牛繁殖経営の「根付き方」に注目して分析を進める必要があると述べています。まだ、連載の中途の報告ですから、即断はできないでしょうが、今後の分析の展開が楽しみです。

詳しくは中央畜産会の広報誌「畜産コンサルタント」7月号をごらんください。