農畜産物の輸出が、これからの時代には必須ということで、あの手この手の戦略が練られています。日本産の持つ高品質であることなどのイメージを売り込めばなんとかなるということも言われますが、「言うは易し」の感があるのも事実でしょう。
 農畜産業振興機構の機関紙「畜産情報」8月号の調査・報告学術調査「ビックデータを用いた国産畜産物の需要拡大方策に関する実証的・実験的研究」と題する明治大学農学部専任講師中嶋 晋作氏の論文によりますと、香港における牛肉の消費者調査を題材に、日本国産牛肉と豪州産WAGYU、豪州産アンガス、米国産アンガスを対象にして消費者の認知度等を解析しています。この種の調査では対象者の属性が大きく結果に影響するのが常ですから、若干触れておきますと、対象は265人(男性134人、女性131人)で香港在住の外国人ということです。年齢は20〜50代の人が多く、大学卒業者、富裕層と呼ばれる人々といいます。
 さて結論ですが、日本国産和牛と豪州産WAGYUの比較では差別化はある程度成功しているものの、そのプレミアムは大きくないこと、国産というと評価の基準としてサシを考えがちだが、この調査では垂直的な差別化ということではサシに限らないことを指摘しています。この結果、新たなマーケット・インが求められるとしています。それには「文化」もあわせて開発し、今後も売り込みのために英知を結集してオールジャパンで取り組んでいく必要があるとしています。

 くわしくは農畜産業振興機構の機関紙「畜産情報」8月号をごらんください。