飼料コストの低減や未利用資源の活用は、畜産の生産コストの低減や食料自給率の向上にとって喫緊の課題です。周りを見回すと、まだまだ意外なところに資源があるかもしれません。
鹿児島大学農学部の豊 智行教授の「規格外れんこんを飼料利用する株式会社広原畜産とJA土浦管内れんこん農家との耕畜連携」と題する論文によりますと、そんなことに気付かせてくれるヒントになる事例が紹介されています。
 また、豚のたい肥とれんこん農家の耕畜連携という面からも注目されます。
 茨城県かすみがうら市の広原畜産は法人化して2年、兄弟で経営しており、母豚70頭、肉豚1200頭を出荷するとともに、加工も行っています。肉豚のうち10〜20%をれんこん豚としており、発育ステージごとの給与量のテストの結果、出荷前45日くらい前から通常の配合飼料の15%程度を置き換えて給与しているそうです。れんこんは季節性があり通年給与のためのサイレージ化にも成功して、通年給与体制ができたといいます。
 れんこんを給与した豚肉は甘みが増すといい取引価格も高く、母豚は乳量が増えるといいます。広原畜産の豚たい肥を使うれんこん農家は8〜9戸ということですが、規格外のれんこんは、JA土浦れんこんセンターから仕入れているそうです。広原畜産のたい肥を使いたいという希望は多くあり、母豚の増頭を検討しているとか。また、たい肥を使ったれんこん農家の秀品率はたかく、双方にとってウイン・ウインの関係だそうです。

 くわしくは農畜産業振興機構の機関紙「畜産情報」8月号をごらんください。