アンダルシアに生きる〜馬と祭り

アンダルシア大地 スペインの南部に広がるアンダルシアの大地。ここに、走ることだけではなく、馬のもつ美しさを極限まで追及し改良を重ねられてきた馬、アンダルシア馬がいます。太陽と緑の風の中、アンダルシアの馬たちは、はるかなる想いを乗せて駆ける。人がいて、馬がいる暮らし、人と馬とが、アンダルシアの大地に一体となって生き、その伝統が、今日もなお、へレスに伝わる馬祭りに生きています。へレスの馬祭り
 セビーヤから約90km、シェリー酒の発祥の地として知られるヘレス・デ・ラ・フロンテラは、アンダルシア馬の生産地としても有名な町です。
 春は祭りの季節。5月1日、へレスの馬祭りが始まりました。この日から1週間、へレスのひとびとは、馬とともに祭りを祝います。人々は伝統の衣裳を身につけ、馬車を飾り、町中が祭りに酔いしれます。闘牛
 祭りの花形はなんといっても、スペインの国技“闘牛”。ここ、ヘレスでは、レホネオと呼ばれる馬に乗った闘牛が行なわれます。この競技が、いつのころから始まったのかその歴史は定かではありません。しかし、スペインの英雄エル・シドの時代からあり、その歴史は12世紀までさかのぼると言われます。危険と美が裏腹となり同居する闘牛。馬を操りながらのレホネオは、馬も人も最高の技術を要求される競技です。マラソンレース
 また、へレスの馬祭りの人気競技に、馬車によるマラソンレースがあります。この競技は、30キロの距離を競う、タイムレースです。ヨーロッパでは、こうした馬車競技が盛んで、スペインに限らず、各地でスポーツとして親しまれています。
 アンダルシアのひとびとは、馬に、走る能力だけでなく、美しさを求めたと言います。見事に発達した筋肉、上品な足取り、そして瞬発力に優れ、機敏に急停止や方向を転換したり優れた馬術にも対応できます。
ロシオの巡礼祭 さて、このへレスの馬祭りを追うように、始まったのが、ロシオの巡礼祭です。ここでもアンダルシアの馬たちが大きな役割を担っています。ロシオの巡礼団はその昔からの言い伝えを心から信じ、あるものは3日を、あるものは4日をかけて、聖地ロシオに向かうのです。聖母マリアの御旗の乗った馬車を先頭に巡礼の旅がはじまります。アンダルシアの馬
 伝統と信仰の祭リロシオの巡礼。へレスの馬祭りなど、スペインの大地の中に、私達は、今なお続く人と馬の悠久の歴史を見ます。
 アンダルシアの馬たちは、その歴史と伝統に育まれながら、たくましく生きています。長い歴史の中で手塩をかけて作り上げられた美しく、従順な馬。スペインでも人と馬の絆がいきているのです。

毎月、1本のペースで情報を更新していく予定です。
次回は、中国の話題で
『大草原の祭りナーダム〜モンゴルの人と馬』を予定しています。