2005年2月10日 Vol.16
提 供  漁船保険中央会

■□■□━━━━━━━「海外漁業情報」━━━━━━━■□■□


   「海外漁業情報」では、海外で操業される漁業者の皆さんへ、
  操業上の注意事項や国際会議の結果等をお知らせします。
                 
 
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  ロシア水域における遠洋底びき網漁業の操業にあたって


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 2005年のロシア連邦200海里水域における遠洋底びき網漁業(旧
北転船)に対する操業条件については、昨年12月、東京において開
催された日・ロ漁業委員会第21回会議における交渉の結果、漁獲割
当量は、前年当初割当量より29トン多い4,622トンとなりました。
また、許可隻数は前年と同様5隻となっています。

 それでは、具体的な注意事項について申し上げます。

 昨年末の漁業交渉においてもロシア側は、遠洋底びき網漁船によ
る過去の違反の多発及びそれに係る罰金等の一部未払いが極めて高
水準に上ることを強く非難し、罰金等の未払い状況の改善を強く日
本側に求めました。
 この未払い案件の関係漁業者は、既に漁船を売却するなど実質的
に遠洋底びき網漁業を営んでおらず、また、罰金等の支払いも拒否
しているため、未払い問題を解決することは困難となっています。
 このため、今後ともロシア側は遠洋底びき網漁船に係る違反や罰
金の支払いについて、他の漁業種類以上に厳しい対応をとる可能性
があります。

 また、こうした罰金等の未払い問題を背景とし、2004年より、こ
れまで軽微な違反を犯した場合に、拿捕を回避するため船上にてロ
シア監督官に手交していた「保証書」について、信用状、いわゆる
「LC」の開設が義務付けられています。
 この「LC付きの保証書」については、技術的な問題から現時点
ではこれを作成することは困難となっています。
 このため、昨年より、軽微な違反であっても、ロシア側によって
拿捕される恐れがある極めて厳しい状況になっています。

 こうした状況を裏付けるように、昨年11月、遠洋底びき網漁船1
隻が、1.7トンの割当量超過をロシア側に指摘され、拿捕されてい
ます。
 この案件の場合、関係者の尽力もあり、8日程度の拘留で、解放
されたものの、日本漁船による違反及び罰金等の未払いに対するロ
シア側の厳しい対応を明確に示しているものと思われます。

万が一、ロシア側から違反指摘を受けた際は、ロシア監督官が提示
する調書(「アクト」あるいは「プロトコール」)などに、漁業や
排他的経済水域に関連しない違反事項が含まれていないことを自ら
慎重に確認するとともに、可能な限り、ロシア監督官にも確認する
ことが、早期解放にとって重要であると考えます。

 最後になりますが、近年、毎年のようにロシア側に拿捕されてい
る遠洋底びき網漁業については、他の漁業種類の操業にも多大な悪
影響を与えている事実を十分自覚し、関係者が一体となって、違反
の根絶に努めるようお願いします。


                        
                        水産庁遠洋課

    
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                   漁船保険中央会
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