2015年6月30日 Vol 269

提 供  漁船保険中央会

■□■□━━━━━━━━「海外漁業情報」━━━━━━━━■□■□

「海外漁業情報」では、海外で操業される漁業者の皆さんへ、
操業上の注意事項や国際会議の結果等をお知らせしています。

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北太平洋溯河性魚類委員会(NPAFC)第23回年次会議の結果について

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北太平洋のさけ・ます資源の保存を目的として、北緯33度以北の公海でのさけ・ます

漁業の禁止を主な内容とした「北太平洋における溯河性魚類の系群の保存のための

条約」が1993年2月16日に発効し、この条約に基づく「北太平洋溯河性魚類委員会

(NPAFC)」の年次会議が、加盟5カ国(日本、米国、カナダ、ロシア、韓国)の

持ち回りにより、毎年各国において開催されています。

今年第23回年次会議は、5月11日から15日まで、神戸市の神戸国際会議場で

開催されました。

取締分野の会議では、2014年漁期のさけ・ます違法操業の取締実績報告が行われ、

中国漁船Yin Yuanの拿捕の事例が挙げられました。

昨年5月22日、航空取締を行っていたカナダ当局によって、違法操業を行っている

Yin Yuanが発見され、その情報が米国沿岸警備隊へ伝えられました。

5月27日、米国沿岸警備隊は、取締艦艇に同乗していた中国当局者の許可を得て、

Yin Yuanを臨検しました。6月3日、Yin Yuanは中国当局に引き渡され、

最高額の罰金が課せられました。

また、違法な転載を行うための装置を備えた2隻の船舶が米国沿岸警備隊の

取締航空機によって発見されました。

国際刑事機構(インターポール)が、この船舶の動きに注意するよう各国の

取締当局に警告したところ、韓国が寄港中の船舶に臨検を行いました。

また、後日、ロシア水域で操業中を行っていたもう1隻が、有効な操業許可証を

所持していなかったことから、ロシア当局が同船を拘留しました。

科学調査分野の会議では、加盟国の指導的立場にあるさけ・ます研究者が公海と

その隣接水域における太平洋さけ・ます及びスチールヘッドに関する漁獲状況や

調査計画について議論しました。

2014年の暫定的な北太平洋さけ・ますの漁獲量は、86万トン(3.92億尾)でした。

シロザケが全漁獲量の最も大きな割合(重量で38%)を占め、カラフトマス(36%)

ベニザケ(21%)と続きました。

ギンザケは漁獲量の5%、マスノスケは1%、サクラマス及びスチールヘッドは

それぞれ1%未満でした。

2015年には、アラスカ湾、ベーリング海、北西太平洋及びオホーツク海における

さけ・ますの調査が計画されており、種類ごとの豊度、回遊、分布、成長などの

条件を調べる予定です。

なお、今回の年次会議において、今村弘二・社団法人全国底曳網漁業連合会元会長が

2015年度NPAFC賞を受賞されました。

さけ・ます資源の管理と国際調整において、長きに亘るリーダーシップを

発揮したことが評価されての受賞です。

次回の第24回年次会議は、2016年5月16日から20日まで、釜山(韓国)で

開催されます。

水産庁国際課
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