2025年9月29日 Vol455
提 供 日本漁船保険組合
■□■□━━━━━━━━「海外漁業情報」━━━━━━━━■□■□
「海外漁業情報」では、海外で操業される漁業者の皆さんへ、操業上の注意事項や
国際会議の結果等をお知らせしています。
*******************************************
令和7年さんま漁業のロシア水域における操業上の注意について
*******************************************
今年も、さんま漁業の操業が開始されております。
多くのさんま漁船におかれましては、今年もロシア水域での操業が予定されていることだと思い
ます。
2025年のロシア連邦200海里水域における棒受網漁業の漁獲割当量は、さんまは
14,469トン(前年対比11,155トン減)、するめいか260トン(前年対比259トン減)
さば500トン(前年対比694.2トン減)、まいわし600トン(前年対比1,139トン減)
と決定されました。
なお、海区は「U−1区」と「U−2区」で漁獲割当量も海区毎に配分されました。
(上記の漁獲割当量は、U−1区とU−2区の合計です。)
今年のロシア水域内操業期間は、10月1日から10月30日(10月31日早朝)までとし、
ロシア水域への入域は、10月1日0時以降にロシア200海里境界線を通過して入域することと
しております。
それでは、具体的な注意事項について申し上げます。
一つ目に、2025年は日本側が用船した監督官船3隻に乗船する監督官9名により取締りが
行われます。なお、監督官船は、チェックポイント東−6と、操業状況に応じて東−15に配置
されると思われます。
なお、チェックポイントに監督官船がいない場合は、原則、日本漁船はロシア水域の入出域が出来
ませんので、監督官船の動向には注意して下さい。
二つ目に、2024年漁期において、監督官船に乗船しているロシア監督官が、ロシア水域で操業
する日本漁船に乗り込んできて、当該船の操業の視察・取締りを行いましたが、今年もロシア監督官
の要請に基づき乗船して取締が行われることとなります。いつ、どの船に乗船するかは、現場で
ロシア監督官が決定すると思われますので、指示に従って下さい。
三つ目に、許可証に書かれていない魚種を漁獲した場合は、重量を量って速やかに自然の環境に
戻して(海中投棄して)ください。海中投棄した許可証に書かれていない魚種と重量は、操業日誌に
記載するとともに、SSDでも報告して下さい。
四つ目に、操業時間と網数の書き方について、今までは30分単位で記入していましたが、
SSDシステムの時間の単位を細分化して6分単位としましたので、SSDや操業日誌の操業(網数)
は6分単位で記入して下さい。
五つ目に、チェックポイント通過前の通報開始時間は、チェックポイントの中心から12海里前の
地点から45分間に亘って5分毎に呼び出して下さい。(チェックポイント到達の45分前から通報
開始するものではありません。)
六つ目に、ロシア水域から出域する際に提出するSSD(出域SSD)の提出期限が、
チェックポイント通過の1.5時間前までに変更となりました。ついては、出域SSDは余裕を
もってチェックポイント通過の3〜4時間前までに提出して下さい。
七つ目に、ロシア水域で操業する場合の入出域通報の変更手続きが2021年から厳格化されました。
通報内容の変更は、基本的に、当初通報した予定通過時刻の4時間前までに取り消し、かつ新たな
通過予定時刻の8時間前までに通報する必要があります。
なお、チェックポイント通過予定時刻は通報と一致する必要がありますが、チェックポイントへの
到達が予定時刻よりも早くなった場合はチェックポイントの半径3マイル圏内で待機し、また遅れる
場合はチェックポイントで監督官船に無線連絡することとなりますが、この場合、監督官が日本漁船
の到着が遅れた客観的な理由の有無とその正当性を個別に審議することになりますので、予定時刻に
遅れることが無いようにして下さい。
また、日本漁船から送信された入出域通報は、サハリン国境警備局に届いたことを確認する必要が
あります。通報メールに対する自動返信メールが送られてくるので、入出域システムで自動返信メール
の受信を確認して下さい。もし、通報後30分経っても自動返信メールが送られてこない場合は、
陸上通訳を通じてサハリン国境警備局に電話し、通報が届いているかを確認して下さい。
届いていることを確認できた場合はチェックポイントに向かい、届いていない場合は出し直す
(8時間が確保されている場合は前の通報を、確保されていない場合は新たな通報を出す)必要が
あります。
その他、さんま等の許可証に書かれている魚種は賄いにしない、公海から持ち込んだ漁獲量は端数も
記載したkg単位で報告する、ロシア水域操業でさんま以外の混獲魚が少しでもあれば記載する等の
注意をお願いします。
公海操業のためのロシア水域通過については、チェックポイントの通過、入出域通報の送信、
操業日誌の記載は従来どおり必要となりますが、2025年から公海操業のためのロシア水域の通過
の場合に限りSSDの送信は不要となりました。
ロシア側からの違反指摘に関して、2020年漁期においてはロシア側が主張する200海里
ラインがGPSプロッターに入力されていなかったことにより、境界線を越えてしまい違反指摘を
受けた船が多数ありました。全さんまの作成した「さんま漁業操業のしるべ」の29ページの
ポイントをGPSプロッターに入力して、200海里ラインを超えないように注意して下さい。
船舶位置情報(VMS)は、ロシア操業時のみならず公海操業時にはNPFCからも発信が義務付け
られています。ロシア操業時の欠落への対処として、位置報告控えを2時間毎に記録していただいて
おります。また、VMSの位置情報はNPFC加盟国で共有されますので、ロシア水域、
公海、日本水域のいずれで操業するかに寄らず、操業水域については厳に遵守して下さい。
漁期中に公海操業をする場合、NPFC条約水域(公海)で加盟国の取締船による検査があるかも
しれません。取締船から検査の要請があった場合は、拒否せず、検査を受け入れてください。
また、公海で操業するさんま漁船は、コールサインの船体及び甲板への表示(コールサインを取得
していない船は漁船登録番号の前に「JP−」を付けて表示)が義務付けられています。しるべの
73〜78ページを参考に、乗船検査及び船体表示への対応をお願いします。
最後になりますが、皆様のロシア水域での無事故操業と豊漁を祈念しております。
全国さんま棒受網漁業協同組合
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
(株)農林放送事業団
H P: http://www.agriworld.or.jp
FAX:03−6260−7618
日本漁船保険組合
H P: http://www.ghn.or.jp/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━