2007年3月5日 Ｖｏｌ．６０
提　供　　漁船保険中央会

■□■□━━━━━━━「海外漁業情報」━━━━━━━■□■□


   「海外漁業情報」では、海外で操業される漁業者の皆さんへ、
　　操業上の注意事項や国際会議の結果等をお知らせします。
                 
 
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　　国際捕鯨委員会（IWC）正常化会合の結果概要について

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２００７年２月１３日から３日間、我が国を含むＩＷＣ加盟３５ヶ
国、ＮＧＯ２０団体等が、三田共用会議所（東京）に参集し、国際
捕鯨取締条約（ＩＣＲＭ）に基づき、鯨類資源管理機関としてのＩ
ＷＣの機能を回復させるための方策について議論しました。
　議長にはパラオのナカムラＩＷＣ政府代表（元大統領）が就任し、
会議自体を全日公開する等、多方面からの多くの関心を集めました。

　今回の会合の名称には、「正常化」という言葉が含まれています。
　このことからも我々が何かを正常化しようと試みている事が感じ
られるかと思います。これには長い歴史があり、本会合の結果をお
知らせする前に背景について少し触れておきたいかと思います。
　２００６年２月２８日から３月２日にかけてケンブリッジで開催
された会合で、ＩＷＣの改訂管理制度（ＲＭＳ）作業部会は、ＲＭ
Ｓの完成に向けた更なる議論を延期することに合意しました。

　この決定は、１４年間に亘る議論と交渉の結果であり、ＩＷＣが
与えられた機能、つまりＩＣＲＷの目的である鯨類の適当な保存を
図って捕鯨産業の秩序のある発展を可能にするといった事を履行で
きなくなったことを自ら容認する結果となりました。
　このため、我が国を含む鯨類資源の持続的利用を支持する作業部
会の参加者は、単なる感情的、政治的な紛争の場に成り下がってい
るＩＷＣが正常化されない限り、ＩＷＣが資源管理機関としての存
在意義を失ってしまうとの重要な懸念から、「ＩＷＣの正常化に向
けて」と題された文書を第５８回ＩＷＣ年次会合の場に提出しまし
た。
　
　その結果として、１９８２年に採択された商業捕鯨モラトリアム
はもはや必要ないとの見解が示され、機能不全に陥っているＩＷＣ
の正常化をＩＷＣとして約束する旨を盛り込んだ「セントキッツ・
ネーヴィス宣言」が決議という形で採択されました。
　我が国は、こういった背景において、正常化会合を東京で開催す
るに至りました。

　ＩＷＣの機能不全の要因として、以下のテーマに分けて協議され
改善等が議長の要約としてまとめられました。
　また、ＮＧＯ代表の参加を得てパネルディスカッションを行い、
様々な立場からの意見交換の有効性が確認されました。

【相互信頼の構築と手続問題】
　信頼関係の構築を促進するため、相互の共通点や妥協点を模索す
ること。また、意見の対立が生じている問題について、ただ単に投
票により決着を図ろうとするのではなく、コンセンサスでの解決策
を模索すること。議場における不適切、感情的発言を禁止すること。


【啓蒙普及】
　情報提供の平等性を確保するために、ＩＷＣ事務局のウェッブサ
イトに、各加盟国がその立場や見解を表明できるサイトをリンクす
ること。また、ＩＷＣ事務局のプレスリリースを通じて、鯨類の資
源評価に関する合意を含む、科学委員会における研究成果について
公表すること。

【文化的多様性】
　文化の多様性の尊重及び資源管理における地域社会の貢献につい
ての決議を提出すべきこと。その一環として日本の沿岸小型捕鯨者
によるミンククジラの捕鯨が認められるべきこと。

【国際捕鯨取締条約等の解釈】
　附表の修正については条約との整合性を見る特別グループによっ
て検討すること。条約や委員会での決定事項の解釈について加盟国
間で合意が得られない場合には法的な意見を外部に求めること。

　本会合の結果は、議長の報告書としてとりまとめられ、ＩＷＣの
事務局より加盟国に回章されました。
　また、本年５月の第５９回ＩＷＣ年次総会において、ナカムラ議
長より結果概要の報告が行われる予定です。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　水産庁遠洋課



	
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