2007年12月26日 Vol.64
提 供  漁船保険中央会

■□■□━━━━━━━━「海外漁業情報」━━━━━━━━■□■□


   「海外漁業情報」では、海外で操業される漁業者の皆さんへ、
  操業上の注意事項や国際会議の結果等をお知らせします。


******************************
        
  大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT)
             第20回通常会合の結果について

******************************
        
 今回は、2007年11月12日から18日にかけて、トルコの
アンタルヤにおいて開催されました「大西洋まぐろ類保存国際委員
会(ICCAT)第20回通常会合」の結果についてお知らせしま
す。
 当該会合に我が国からは、宮原水産庁資源管理部沿岸沖合課長(政
府代表)はじめ、関係省庁、独立行政法人水産総合研究センター、業
界から関係者が出席しました。
 ICCATは、1969年に設立された、大西洋(地中海を含む。)
のまぐろ類の保存管理を行う地域漁業管理機関です。現在の加盟国
は、我が国、韓国、中国、米国、カナダ、メキシコ、ブラジル、モ
ロッコ、ガーナ、南ア等の合計44カ国とECです。
 今回会合の結果については以下のとおりです。

保存管理措置
 東大西洋クロマグロ
 漁獲可能量(TAC)削減とまき網の漁期短縮を盛り込んだトル
コ提案と、規制遵守が確保できない加盟国の操業の一時停止を求め
る米国提案が出されたが、いずれも支持が得られず、次の趣旨の妥
協案に合意が得られました。
 ・ 2008年会合で各国の規制遵守状況をチェックし、必要に応
     じ、保存管理措置を見直す。
  ・ 東大西洋クロマグロ漁業関係者(漁業者、蓄養業者、貿易関係
   者等)を含めた会合を来年3月に東京で開催し、規制遵守のた
   めの生産量抑制等についての指導、意見交換を行う。
 ・ クロマグロ資源の増殖技術に関する情報を収集する。

北大西洋ビンナガ
 ECから、ICCAT科学統計委員会(SCRS)の助言を踏ま
えて、TACを現行の34,500トンから20,200トン削減
し、それに合わせて国別漁獲枠及び漁獲制限量も削減する、漁獲が
漁獲枠または漁獲制限量に達しなかった場合の余剰分の翌年繰り越
しを当初枠または漁獲制限の25%(現行は50%)までに制限す
る等の内容の提案が出され、採択されました。なお、我が国につい
ては、「大西洋のメバチ漁獲量の4%までに制限するように努力す
る。」旨の現行規定がそのまま維持されました。

南大西洋ビンナガ
 南アフリカから、2008年から2011年までの保存管理措置
について提案が出され、漁獲が漁獲制限量に達しなかった場合の余
剰分の取扱いに関し、ベリーズの意見を踏まえて、ビンナガ対象操
業を行っている国については従来どおり翌年繰り越しを認められな
いが、当該魚種が混獲種でありその漁獲が低水準の国については、
150トンまで翌年への繰り越しが認められる旨修正され、採択さ
れました。なお、我が国については、「大西洋のメバチ漁獲量の4
%までに制限するように努力する。」旨の現行規定がそのまま維持
されました。


地中海メカジキ
 ECから、若齢魚漁獲の削減を目的に禁漁期間(10月15日か
ら12月15日まで)を設ける提案が提出されましたが、モロッコ
が難色を示したため、2008年の緊急的な措置として、禁漁期間
を10月15日から11月15日までに修正され、採択されました。
なお、地中海については、既にクロマグロの保存管理措置として6
月1日から12月31日までの間の大型はえ縄操業が禁止されてい
るため、我が国漁船への新たな影響はありません。

保存管理の遵守
 ECの東大西洋クロマグロの漁獲について、2007年漁期に約
4,440トンの過剰漁獲が判明したことから、2009年から2
011年の3年間に各年約1,480トンを返済(当該年度のEC
漁獲枠より削減)することが決定されました。
 また、大西洋クロマグロについて、日本の提案により、漁獲から
市場までの全ての流通実態を1つの文書に記録し、流通の透明性を
確保する「漁獲証明制度」が採択されました。

混獲対策
 はえ縄漁業における海鳥の混獲対策として、南緯20度以南で操
業する漁船を対象にトリポールを設置することが決定されました。

ICCATの新議長
 ICCATの新議長については、ファビオ・ハーシム(ブラジル)
が選出されました(任期は2年)。

 なお、次回の年次会合は、EC域内において、2008年11月
17日から25日まで開催されることとなりました。


                        水産庁国際課


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
                                                     
                (社)農林放送事業団
           H P: http://www.agriworld.or.jp
           FAX:03−3585−5728         
                                                     
                      漁船保険中央会
           H P: http://www.ghn.or.jp/
                 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━