2008年5月22日 Vol77
提 供  漁船保険中央会

■□■□━━━━━━━━「海外漁業情報」━━━━━━━━■□■□


   「海外漁業情報」では、海外で操業される漁業者の皆さんへ、
  操業上の注意事項や国際会議の結果等をお知らせします。


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 ロシア水域におけるさけ・ます流し網漁業の操業に当たって            

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 2008年におけるロシア連邦の200海里水域における日本国
の漁船によるロシア系さけ・ますの2008年における漁獲に関す
る日ロ政府間協議は、4月25日、モスクワにおいて協議を了する
に到りました。民間による入漁交渉から政府間協議に移行して第3
回目となる今次協議において、ロシア側は、現在のロシア政府漁業
当局の最優先課題が、ロシア船及び外国漁船による法令遵守の徹底
であることを再三主張しつつ、我が国漁船による漁獲割当量及び操
業規則の厳格な遵守を求めるとともに、これらを履行しない場合に
は、我が国さけ・ます漁船のロシア水域での操業を一切認めないこ
とも辞さないとの立場で会議に臨んできました。
 昨年のロシア側による違反指摘は、操業日誌不実記載・魚種のす
り替え違反1隻、SSD(船舶日報)の未送信違反1隻、保護区内
立ち入り違反1隻でした。そのうち、操業日誌不実記載・魚種のす
り替え違反については、拿(だ)捕・長期抑留に至ったことから、
日ロ漁業関係史上初めて、我が国による国際海洋法裁判所への提訴
にまで到りました。この結果、ロシア側の長期勾留等の不当性につ
いては、我が国の主張が本裁判により認められました。
 こうした状況の中、本年に入り、カムチャッカ地方の漁業取締当
局によるロシア国内漁船の大量拿捕が発生し、大きな国内問題とな
るなど、極東ロシアにおける漁業は、例年以上に厳しい管理及び取
締りの下にあるとの報道があります。我が国さけ・ます漁船におか
れましても十分な注意を払いつつ、適正な操業をすることが重要で
あることは言うまでもありません。
 違反が発生した場合、個々の漁業経営及び我が国さけ・ます漁船
の問題にとどまらず、日本国の漁船全体に対するロシア側の厳しい
対応を惹起することになるなど、日ロ漁業関係の維持・発展に重大
な悪影響を及ぼすことが強く懸念されることから、こうしたことを
十分念頭においた慎重な対応が求められています。
 なお、操業水域の3a区は、同時操業隻数35隻という制限の下
で、小型船と中型船がローテーションを組んで秩序ある操業が義務
付けられております。本年の日ロ政府間協議の中でも、ロシア側か
ら「昨年、3a区においての操業の際に、規則を遵守するよう漁業
者団体に指示せざるを得ない状況が生じた。」旨の発言もありまし
た。漁場が狭く、操業しにくい水域ですが、関係漁船間の相互連絡
を密にするなど、ルールに則った秩序ある操業に努めてください。
 本年は、5月9日に小型船22隻、5月15日に中型船21隻が
根室を出港し、ロシア水域での操業が始まりました。昨年に引き続
き、指揮船による監督下での操業になりますが、ロシア監督官の指
導を十分守り、ロシア側に違反指摘などをされないように、定めら
れた操業条件を遵守し、安全な航海及び操業で実りある漁期の終了
を迎えられますようお祈り申し上げます。

                                    水産庁遠洋課

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                    漁船保険中央会
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