2008年8月15日 Vol82
提 供  漁船保険中央会

■□■□━━━━━━━━「海外漁業情報」━━━━━━━━■□■□


   「海外漁業情報」では、海外で操業される漁業者の皆さんへ、
  操業上の注意事項や国際会議の結果等をお知らせします。


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平成20年さんま漁業のロシア水域における操業上の注意について            

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 今年も、さんま漁業の出漁の時期を迎えました。
 漁業者の皆様におかれましては、本年もロシア水域での操業が予
定されていることだと思います。

 2008年のロシア連邦200海里水域における漁獲割当量等は、
2007年12月の第24回日ロ漁業委員会における交渉の結果、
全体の漁獲割当量は前年より約158トン少ない57,163トン、
さんまは前年同の35,500トンと決定されました。

 許可隻数枠は、昨年と同様315隻です。トン数階層別では、
30トン未満が187隻、30トンから50トンが25隻、50ト
ンから100トンが15隻、100トンから350トンが88隻に
なっています。(いずれも前年同)

 それでは、具体的な注意事項について申しあげます。 

 まず、操業日誌については、ロシア連邦政府の手続き規則を熟読
し十分に理解した上で、必要事項を記入し船内に保持して下さい。
また、平成19年の指定漁業の許可及び取締等に関する省令の改正
により、ロシア水域で操業する航海においては、漁獲量をロシア水
域及び日本水域ともに時系列に記入することとなっていますので注
意ください。 

 また、ロシア水域に入漁する際には、ロシア連邦政府の手続き規
則に基づき、入出域通報、日別漁獲量、旬別漁獲量などの報告をカ
ムチャッカ通信モニタリングセンター(KCCM)へ行わなければ
ならないほか、月報については、ロシア連邦漁業国家委員会沿海地
方支部へ通報しなければなりません。

 さらに、KCCMへ報告する内容については、船舶日報にも記入
し、船長が署名の上、船内に保持するとともに、操業又は漁期終了
後に報告事項を求められても全ての報告事項を再提出できるよう保
管しておいて下さい。 

 次に違反操業の取締りに関する内容です。ロシア側は、毎年、交
渉時に日本漁船の違反件数の多さ等を指摘しており、このことが例
年の交渉を難航させている一因となっています。
 万が一違反操業問題が発生すれば、違反した漁船については2年
間の許可発給停止となることは勿論のこと、違反を犯した個々の漁
船の問題のみならず、ロシア水域で操業する日本漁船全体に対して
さらに厳しい操業条件が課せられることとなる等、日ロ漁業関係の
維持発展に重大な悪影響を及ぼすことが懸念されております。特に
今年から、20トン以上船についても指揮船公務員による監視体制
に変わったため、今後の取締りがどのように行われるか不透明なと
ころもありますので、今一度操業手続を確認の上、細心の注意を払
いながら操業を行ってください。

 このほか、船舶位置情報(VMS)の欠落や報告との位置のずれ
についても大きな問題となっております。
 ロシア水域に入域中は常にVMSの作動状況に留意するとともに
絶対にVMSのスイッチは切らないでください。
 万が一技術的な不具合又は何らかの理由でVMSの作動が停止し
た場合は、速やかにロシア水域を離脱するともに、位置報告控えを
所属無線局にも送ってください。
 これを怠った場合も違反となり、2年間の許可発給停止となるこ
とから十分に留意してください。

 また、ロシア公務員とのトラブルは極力避けることは勿論ですが、
図らずしてロシア公務員とのトラブルが生じた場合には、至急、所
属する団体に連絡するとともに操業の手引きに基づき適切に対処し
てください。
 
 既にご承知のこととは思いますが、2005年から、ロシア連邦
行政当局の組織改編に伴う名称変更や月報の送付先の変更など、細
かいところに変更がありましたので、詳細については最寄りの関係
団体等にお問い合わせ下さい。
 
 最後になりますが、今年のさんま漁業の出漁時期を迎えまして、
皆様のロシア水域での豊漁と安全航海を祈念しております。


                                   水産庁沿岸沖合課

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                 (社)農林放送事業団
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                    漁船保険中央会
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