2008年10月10日 Vol91
提 供  漁船保険中央会

■□■□━━━━━━━━「海外漁業情報」━━━━━━━━■□■□


 「海外漁業情報」では、海外で操業される漁業者の皆さんへ、
 操業上の注意事項や国際会議の結果等をお知らせしています。

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          第13回ベーリング公海漁業条約年次会議
                (2008年)結果について            

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 2008年9月1日及び2日、ロシアのカリーニングラードにお
いて第13回『中央ベーリング海におけるすけとうだら資源の保存
及び管理に関する条約(通称:ベーリング公海漁業条約)』の年次
会議が、カリーニングラード(ロシア)において開催された。
(参加国:日本、ロシア、米国、韓国、ポーランド、欠席:中国。
本年から、ポーランドのEU加盟に関連して欧州委員会(EC)関
係者がポーランド代表団の一員として参加した。)

 ベーリング公海におけるすけとうだら操業は、1993年からモ
ラトリアム(操業の一時停止)を実施して以降、15年間を経過て
いるが、今回の年次会議においても資源回復の兆候は全く認められ
ない旨の調査に関連する報告が行われた。なお、本年は、米国によ
るアリューシャン海盆における資源調査が実施されなかったことか
ら、前年の調査結果等から推定された数値が算出され、当該水域の
資源量は49万トンとなった。我が国及び韓国は、これまで同様、
当該資源量に基づき、たとえ少量ではあっても科学的な根拠を有す
る漁獲可能水準(AHL)を設定することは可能であること及び最
近の急激な燃油高騰により、厳しい状況にある漁業者にも配慮し、
漁業再開に向けた作業を進めるよう強く主張したが、沿岸国である
米露両国に加え、漁業国の立場であったポーランド(ECの意向が
強く影響しているものと思われる。)が昨年までの態度を一変させ
沿岸国とともに、AHLの設定に反対した。このため、コンセンサ
スによるAHL設定には至らず、条約の規定により2009年のAHL
は0となった。(条約の規定では、コンセンサスによる合意が得ら
れず、かつ、当該資源量が167万トン以上の場合、13万トン以
上のAHLが設定される。)

 なお、韓国からは昨年の夏に実施された試験操業の結果が報告さ
れたが、スケトウダラの漁獲は2尾のみであった。

 ロシア及び米国の研究者は、長期間に及ぶモラトリアムにもかか
わらず、資源が一向に回復しない要因は、環境変動によるものとし
ていた。これに関連し、我が国より、公海に隣接する米国200海
里水域において米国がスケトウダラ資源の保存管理措置、例えば、
幼魚の保護や、スケトウダラ以外を対象とする漁業による混獲の回
避等を適切に実施していることを明らかにするよう求めたが、今回
の会議においては明確な回答は得られなかった。

 スケトウダラ資源が長期間回復の兆しをみせないことから、年次
会議の形骸化が一層際立つとともに、ポーランドの立場の転換とい
う我が国にとっては好ましからざる結果となった会議であった。

                    水産庁遠洋課
                         
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