「パンと牛乳は今すぐやめなさい!」という本、便秘や下痢、花粉症など、28ほどの病名の書かれた帯と書名を見て、これは聞き捨てならないと思い、手に取ってみました。
 パン食や牛乳の飲用、チーズ等の乳製品の普及は我が国では主として太平洋戦争後のことになりますが、西洋では太古の昔からパンと牛乳は必須の食料として位置づけられているではないか。もし著者の言うとおりであるなら、欧米人は、日本人より、というか、コメを主食としているアジア人より早死しているのではないか。しかし、ついぞそういう話は聞いたことがないのですから。
 「パンと牛乳は今すぐやめなさい!」―3週間で体が生まれ変わる―の著者は葉子クリニックを開設する医学博士。早速ページをめくってみますと、まず、「はじめに」では、患者さんの症状によってクリニックで行っている色々な指導に触れ、西洋医学・東洋医学的な手法だけでなく、先生が効果を認める「代替的療法」も取り入れ、食事指導や生活指導を含めた総合的な指導を行っておられるそうです。パンと牛乳をやめる指導もその一つであって、本書はこれまでの指導によって慢性的な各種症状や病気の改善が見られた事例の集大成と位置付けているそうです。
 第1章では、『なぜ私は「パンと牛乳」に着目したのか?』で、原料である小麦が、昔の小麦と現在の小麦では品種改良が進んだ結果、グルテンの性質が全く変わってしまっていること、牛乳にしても生乳生産方法や殺菌方法が全く変わってしまって、カゼインの性質が変化してしまっていることをあげています。ヒトの消化酵素はこれらに対応しきれず、その結果、内臓や脳、神経系に大きな負担をかけており、実際に指導によって「パンと牛乳」を断った結果、好転した例や、欧米ではこれらのことに注目して、各種の調査報告がされていることなどについて記述されています。第2章は、小麦製品、特にパンについてくわしく記述し、第3章では牛乳について述べられています。
 第4章は、「では、何を食べればいいのか?」で、まず、パン・牛乳を3週間制限するためには各種食品の添加物に注意しながら「米食、和食」を薦めます。第5章は、パンと牛乳をやめて健康になった実例報告がされています。「おわりに」では、最近グルテンフリーやカゼインフリーの言葉が欧米でも注目されているがまだまだ少数派であるとし、食事療法によって改善できることが多いといいます。
本書によって、わが国でも準主食ともなっているパン(小麦製品)と牛乳(乳製品)をどう考えたらいいのか、示唆されることが多くありそうです。 
 内山葉子著「パンと牛乳は今すぐやめなさい!」―3週間で体が生まれ変わる―マキノ出版定価1300円、興味のある方はご一読ください。