■チャグチャグ馬コ   
みちのく岩手の初夏の風物詩「チャグチャグ馬コ」。
昭和53年に国の無形民俗文化財に選ばれています。
岩手県は、遠く奈良時代から馬の産地として知られて来ました。
「チャグチャグ馬コ」はずっと毎年6月15日と決められていましたが、現在は6月の第二土曜日に開催されます。
その一年に一度のお祭りのために、舞台裏では昔ながらの人と馬の暮らしが続けられています。

にぎやかに鈴の音を鳴り響かせて練り歩くこのお祭り、実はその準備は前の年、雪が降り始める晩秋にはもう始まっています。        
「チャグチャグ馬コ」は使役に使われる馬に感謝し、一年に一度飾りたてその労をねぎらうのが目的です。
祭りに参加する馬の中には、伐採作業に使役馬として働いている馬もいます。
山の仕事に比べればチャグチャグの装束など軽いもの。
行列の中でひときわ堂々とした姿を見せます。

■蹄鉄作り
本格的な雪のシーズンを迎えて、専用の蹄鉄作りが始まりました。
雪山で木を伐り出す作業には欠かせないスパイクのついた蹄鉄です。
この馬はブルトン系の大型馬。
馬を飼う人は子供のころから馬が大好きで、一緒に暮らせることは何にもかえがたい喜びだといいます。


■冬のタイヤひき
一方こちらのお宅では朝の飼付けが始まりました。
この馬は北海道から購入したものです。
装束がはえる馬体作りのためのトレーニングが続きます。

■伐採作業
晴天の朝、馬を積んで山仕事に向かいます。
到着するとすぐに仕度にかかります。
使い慣れた木を運ぶソリ用の馬装です。

■チャグチャグ馬コの紹介
「チャグチャグ馬コ」は、馬が最も疲れる春の農作業の最盛期・旧暦5月5日に、仕事を休ませ無病息災を祈って馬の守り神である蒼前神社にお参りし、境内で一日を過ごしたことに由来するといわれています。
やがて近郷近在からたくさんの馬が集まるようになると、馬具などに趣向を凝らす飼い主たちが現れました。
そして南部藩の大名行列の装束が使われるようになって、今のチャグチヤグ馬コの原形が出来上がりました。
戦時中、一時途絶えていましたが昭和23年に復活し、昭和33年からは田植えの最盛期をはずした6月15日に行われるようになりました。そして平成13年からは6月の第二土曜日に開かれるようになりました。

■春のタイヤひき・装束作り
みちのくにも遅い春が訪れようとするころ、馬のトレーニングは変わらず続けられています。
一年で一日だけの特別な日のために、馬を飼いトレーニングを積む。
馬どころならではの祭り、「チャグチャグ馬コ」に寄せる心意気が伝わって来ます。     .
朝のトレーニングが終ると装束作りが始まります。この馬の装束は昔、大名行列に使われた「小荷駄装束」に端を発するといわれています。
素材は麻。
これは『まんじゅう』と呼ばれる飾りです。
三段に重ねて、装束全体にちりばめられます。

■装束作り
4月下旬になると装束作りも佳境に入ります。
『まんじゅう』のパーツを重ねて一つにしていきます。
少しずつ完成のイメージが見え始めました。

■田植え・正装
5月の連休が明けるころ、盛岡は田植えの季節を迎えます。
昔と違って機械化された農業に農耕馬の姿はありません。

こちらは首にかける「首よろい」胸前にかける「胸(むな)がい」
木で出来た和鞍、尻につける「尻がい」などをつけたチャグチャグの正装です。



■前日のお披露目
この年「チャグチャグ馬コ」の前日はあいにくの雨。
しかし、毎年恒例にしてきた地元でのお披露目に出かけました。
まず、最初に訪れたのは近所のお寺に設けた馬のお墓。
かつて一緒に仕事をした馬たちに感謝の気持ちを伝えます。
次の訪問先は地域の老人福祉センター。
パレードを見学できないお年寄りたちにも「チャグチャグ馬コ」を見てもらおうと、
続けて来ました。
最後にやって来たのは馬頭観音のある広場。
ここでは毎年、支援者たちが、お昼の準備をして待っていてくれます。

■チャグチャグ馬コ本番

「チャグチャグ馬コ」当日。
神社前には次々と馬たちが到着します。
装束も降ろされます。
装束の準備が始まるころ、まず神輿(みこし)が神社を出て行きます。
真新しい装束が着せられます。
最後の仕上げです。
装束が整うと、馬の神様にお参りします。
「チャグチャグ馬コ」の行列が始まりました。

詳しい情報をお知りになりたい方は、
岩手県滝沢村のホームページをごらんください。
http://www.vill.takizawa.iwate.jp/chag