



(写真)イギリス・アスコット競馬場
カマルグの白い馬〜湿原に駆ける牧童達の夢

カマルグは、ヨーロッパでも有数の鳥類の生息地です。フラミンゴが舞う野鳥達の楽園のこの地に、何時の頃からか"白い馬"の群れがやってきました。しかし、その起源は謎につつまれています。旧石器時代ラスコーの洞窟に描かれた馬によく似ていると言われます。また、アジアの蒙古(もうこ)馬だとか、古代ローマ時代、ローマ人が伝えたアラブ種の血統だとも言われています。いずれにしても、その祖先たちは、謎とロマンを秘めて、遙か昔からカマルグの原野にやって来て生き続けているのです。

体型はそれほど大きくありません。しかし厳しい自然条件の中で育ったので、耐久力があり湿原で疾走する力を持っています。また、驚くほど敏捷で、方向転換や停止能力にも優れたものを持っているといわれます。
そして、この"白い馬"を追う、男達がいます。
ギャルディアンと呼ばれ、この白い馬を育てる牧童のことです。
カマルグの馬は、15世紀には4000頭もの牝馬がいたと言われていますが、20世紀になってカマルグの開発が進み急激に馬の数が減りました。そして、保護の手が伸び、ようやく1000頭を超すまでになったのは、最近のことです。1966年に、カマルグの馬は、純血種として、公式に種馬登録されるようになりました。

夏になると仔馬が育ち母馬とともに新しい牧場に移動していきます。この夏を過ごす牧場に、雌馬の血統や特徴を慎重に考えどのような群れ作りをするか、そして、安全に牧場へ移動させるかというのがギャルディアンの重要な仕事です。そして母馬と仔馬は、湿原に水の無くなる夏から秋まで、いっしょに過ごすのです。夏が終わればすぐ冬の準備にかかります。

遥か昔から"馬"は人々の夢を乗せ大地を駆けてきました。
ギャルディアン達は、いつまでもカマルグの白い馬が、この湿原に生まれ、育つように、願っています。ギャルディアン達の夢を乗せカマルグの白い馬は、この湿原を駆け抜けます。