モンゴル
2 研究範疇
アメリカ、イギリス、オーストラリア、ロシア、モンゴル、日本及び中国などの諸国では多くの馬に関する研究が行われている。先進国ではその研究がより細分化しているため、その成果は顕著である。それに対して中国国内を見てみると、内モンゴル農業大学教授、道芒来は馬産業に関しては系統的かつ詳細な研究を行っている。内モンゴル大学教授の格日勒図の研究は馬乳の固体商品化問題に興味を示している。内モンゴル師範大学副教授の巴雅尓は馬の物質文化と非物質文化の研究に力を入れてきた。錫林郭勒盟蒙医院に勤めていた鳥扎木蘇は1980年代から馬乳療法を研究してきたが、内モンゴル医院に転勤した後も同じ分野の研究を続けてきている。発酵した後の漬物には発癌物質が含まれるという性質があったことから、最初は、南方の人は馬乳療法に対して不信感を持っていた。このような中で、鳥扎木蘇は北京医療専門家と提携し、研究を重ねた。その結果、馬乳の酸性に発癌物質は含まれていないという科学的結論が得られた。この研究結果は国内外の医学界で認められている。鳥扎木蘇が1986年出版した著書「酸馬乳療法」は日本語にも翻訳され日本でも発売されている。それだけではなく、蘇扎布教授、布仁巴図教授、道布沁医師、斯琴巴特尔医師、包日只斤医師、旺楚格医師及び多くの馬関係者は各自の分野で研究成果を出してきた。道芒来教授、楊巴雅尓教授、鳥扎術蘇医師、博格日勒閣教授等は内モンゴルの馬産業の理論研究の創始者と言えるだろう。その他これまで出版されてきた馬産業に関するモンゴル語の著書には道芒来の「モンゴル人と馬」、楊巴雅尓の「モンゴル馬文化研究」などがある。